
土居廓中の安芸城跡にある、書道美術館と併設された歴史民俗資料館。
ここには土佐藩家老だった「五藤家」に伝わる古文書約25,000点、
書籍約5,000冊、美術工芸品約1,000点の合計約31,000点が収蔵されています。

今回案内してくれたのは、安芸市立歴史民俗資料館のオープン翌年から
ずっと勤務されている学芸員の門田さん。(なんと勤続30年!!)
まず始めにお話を伺ったのは、
五藤家が土佐藩家老になったきっかけとなる家宝の鏃について。

門田さん
「この鏃は実際に山内一豊の顔に刺さったものなんです。それを五藤為浄が抜き取り、
その武功を重んじて家老に抜擢されたといわれ、五藤家の家宝として代々大切に保管されてきたものです。」
そんなものが残っているなんて… と驚きを隠せません。
現代では考えられない「戦」があった時代の歴史を語り継ぐ品物として大変貴重です。

奥に進むと安芸市で生まれた数々の偉人たちの紹介コーナーが現れました。

安芸で生まれた大正・昭和時代の作曲家「弘田龍太郎」についての資料が展示されています。
門田さん
「安芸市は童謡の里として、市内10カ所に
弘田龍太郎さんのさまざまな曲碑を置いてるんです。」
この他にも翻訳小説や大衆文芸の普及につとめた反骨のジャーナリスト黒岩涙香や、安芸市が生んだメルボルンオリンピック銀メダリストの石本隆ゆかりの品なども多数収蔵。

さらに奥に進むと安芸市と言えば忘れることのできない人物、
三菱財閥の基礎を築いた岩崎彌太郎にまつわるコーナーが登場。
本人直筆の書や、母・美和のへそくりつぼなども展示されています。



五藤家コーナーでは代々受け継がれてきた美術工芸品や古文書を中心に展示しており、武家の暮らしを感じることができるその内容は、季節に応じて変わっているといいます。

江戸時代の重箱から今でいう当時のポスターやチラシなど、
一般の人々の暮らしにまつわるものも展示されています。
門田さん
「いま私たちが普通に見ている新聞の折り込みチラシも、何年、何十年、
何百年と時間が経てば当時の暮らしを伝える歴史資料になります。」
そのため、歴史民俗資料館では日を決めて折り込みチラシの保存もしているとのこと。
これから先、普通に目にしていたチラシが歴史的にめずらしいものになっていくと考えるとおもしろいですよね。


歴史・民俗コーナーでは安芸市から出土した考古資料や古文書、
民具などで安芸の歴史を辿っています。


昭和30~40年代のくらしをテーマにした、人々の暮らしを再現したコーナーもあり、ちゃぶ台にレトロなインテリア、今ではなかなか見かけることのできない古い家電など、当時の生活をそのまま感じることのできる展示になっています。

その横には戦時下の暮らしとして、
戦地へ出征する兵士に贈られた日章旗への寄せ書きや

兵士の生還を願って女性が一人一針ずつ縫って結び目を作っていった
「千人針」など、戦後70年が過ぎ、次第に薄れていく戦争の体験と記憶を次の世代に伝えるための展示もされています。
安芸の歴史や安芸ゆかりの人物、そして土佐藩家老であった五藤家に伝わる武具や美術品などを中心に知ることができる(衣・食・住)の武家の暮らしなど、現代に繋がる大切な歴史を知る旅、ぜひ出かけてみてください。
問い合わせ
安芸市立歴史民俗資料館
住所/高知県安芸市土居953番地イ
電話番号/0887−34−3706
営業時間/9:00~17:00
休館日/月曜日(祝日の場合は開館)12月29日~1月3日
料金/大人300円、中・高生100円、小学生50円
※20名以上の場合、団体割引有り