
今回訪れたのは国の登録有形文化財に登録されている「安田まちなみ交流館・和」。
安田町は坂本龍馬の姉・千鶴さんが嫁いだ地であり、若き日の龍馬が心を休めに訪れていたそうです。

案内してくれるのは、こちらで専門員として働いている久保さん。
久保さんによると、高知市の自宅と実家のある室戸を行き来するうちに、途中で通る安田町に魅了されたんだとか。
昔から「歴史」が好きで、職場を退職したあと、ちょうどこちらで案内人を募集している話しをもらったことがきっかけで専門員となったそうです。

資料の展示を行っている建物は、旧市川医院を修復して利用しています。
大正初期に建てられたとされる木造平屋の洋館で、レトロな雰囲気になんとも癒されます。

20年ほど誰も住んでいなかったため、
寄付を受けた当時は傷みが著しかったそう。
ガラスは一枚一枚手作りで、
その証に、よく見るとしましまの筋が入っています。
「ここはとても小さな資料館ですが、むしろ小さいことを強みに変えています。お客様一人ひとりにゆっくり時間をかけて解説ができるので、会話を楽しみながらご案内できる喜びもあります。」

お薬を受け取る窓ですね。
医院であった頃の面影が残っています。
かつて待合室や診察室、処置室だった部屋を利用して展示を行っているそうです。
取材時には安田町出身の義太夫語り「六世竹本土佐太夫」の企画展示が行われていました。

竹本土佐太夫は、その美声ゆえに土佐の偉人・後藤象二郎に義太夫の道を勧められ、その世界に入ったそう。
写真もたくさん展示されていて、当時の様子が鮮明に想像できました。
「幕末維新博が始まるにあたって、限られたスペースの中で、どういった企画を見ていただこう、と考えたところ、安田町の歴史の中で一般にあまり知られていない偉人たちをぜひ知っていただこう、との考えになりました」と久保さん。
こちらの企画展は幕末維新博関連の企画展で第5弾目となるそうで、2019年3月24日まで開催されています。

「この男、何者?」
なんとも印象的なフレーズで紹介されていたのは、安田町出身で、明治政府の官僚となった「石田英吉」。
第1弾目の企画展で紹介されました。

「歴史上の人物の中でも幕末の幾多の戦いを生き抜いた希な人物なので、後々検証につかっていただけるようにと年譜を作成し、国会図書館と東京中央図書館へ納本したところ、国会図書館が発行している「月報」内のコラム「本屋にない本」で紹介していただきました。自分たちが力を注いで紹介してきた人物、石田英吉を認めてくれたのかな」と嬉しそうな久保さん。
※「月報」は店頭で販売されていないため書店取り寄せとなります

こちらは旧市川医院のお隣、「旧柏原邸」。
魚梁瀬杉をふんだんに使用した貴重な建物です。
旧市川医院と旧柏原邸は土間で繋がっていて、
和洋折衷建築の中でも、建物同士が一体となった県内でも他に類を見ない形だそうです。

中庭に出ることもできます。
久保さん「こうしてゆっくり座って過ごしていっていただくだけでも結構です。気軽にお立ち寄りください。」
毎年2月28日〜3月3日には、県東部で開催されている「土佐の町家 雛まつり」関連のイベントが楽しめるそうですよ♪
ぜひ訪れて、趣のある伝統的建築と、知られざる偉人たちとの出会いを楽しんでいってください。
問い合わせ
安田まちなみ交流館・和
住所/高知県安芸郡安田町安田1674-1
電話番号/0887-38-3047
開館時間/9:00〜17:00
定休日/火曜(祝日の場合は翌日)、12月28日〜1月2日
料金/入場無料 ※企画展観覧は有料